Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
あたりはだんだんに暗くなって、寒い雨がしとしとと降って来る。勿論、ほかに往来の人などのあろうはずもないので、僕は誰の加勢を頼むわけにもいかない。薄暗いなかで彼のうしろ姿を見失うまいと、梟のような眼をしながら唯ひとりで一生懸命に追いつづけたが、途中の坂路の曲り角でとうとう彼を見はぐってしまった。
「赤座君。赤座君。」
僕の声はそこらの森に谺するばかりで、どこからも答える者はなかった。それでも僕は根よく追っかけて、とうとう一本杉の茶屋の前まで来たが、赤座の姿はどうしても見付からないので、僕の不安はいよいよ大きくなった。茶屋の人を呼んで訊ねてみたが、日は暮れている、雨はふる、誰も表には出ていないので、そんな人が通ったかどうだか知らないという。これから先は妙義の難所で、第一の石門はもう眼の前にそびえている。いくら土地の勝手を知っていても、この暗がりに石門をくぐってゆくほどの勇気はないので、僕はあきらめて立ち停まった。
路はいよいよ暗くなったので、僕は顔なじみの茶屋から提灯を借りて、雨のなかを下山した。雨具をつけていない僕は頭からびしょ濡れになって、宿へ帰りつく頃には骨まで凍りそうになってしまった。