Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
「失礼ながらおいくらでございますか。」
「いえ、いくらでもよろしゅうございます。」
まことに士族の商人らしい挨拶です。そこへ付け込んで値切り倒すほどの悪い料簡もないのと、いくらか気の毒だと思う心もあるのとで、父はそれを三歩に買おうと言いますと、相手は大層よろこんで、いや三歩には及ばない、二歩で結構だというのを、父は無理にすすめて三歩に買うことにしました。なんだかお話が逆さまのようですが、この時分にはこんなことが往々あったそうでございます。
いよいよ売買の掛合いが済んでから、父は相手に訊きました。
「このお面は古くからお持ち伝えになっているのでございますか。」
「さあ、いつの頃に手に入れたものか判りません。実はこんなものが手前方に伝わっていることも存じませんでしたが、御覧の通りに零落して、それからそれへと家財を売払いますときに、古長持の底から見つけ出したのです。」
「箱にでもはいっておりましたか。」
「箱はありません。ただ欝金のきれに包んでありました。少し不思議に思われたのは、猿の両眼を白い布で掩って、その布の両端をうしろで結んで、ちょうど眼隠しをしたような形になっていることです。