Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
しかし何だか面白くないので、家へ帰るとすぐにその妻に話した。
「将軍も一度にたくさんの扇をかいたので、きっと書き落したに相違ない。それがあいにくにおれに当ったのだ。とんだ貧乏くじをひいたものだ。」
詰まらなそうに溜息をついていると、妻も一旦は顔の色を陰らせた。妻はことし十九で三年前から張と夫婦になったもので、小作りで色の白い、右の眉のはずれに大きいほくろのある、まことに可愛らしい女であったが、夫の話をきいて少し考えているうちに、まただんだんにいつもの晴れやかな可愛らしい顔に戻って、かれは夫を慰めるように言った。
「それはあなたのおっしゃる通り、将軍は別に悪意があってなされた事ではなく、たくさんのなかですから、きっとお書き落しになったに相違ありません。あとで気がつけば取換えて下さるでしょう。いいえ、きっと取換えてくださいます。」
「しかし気がつくかしら。」
「なにかの機に思い出すことがないとも限りません。それについて、もし将軍から何かお尋ねでもありましたら、そのときには遠慮なく、正直にお答えをなさる方がようございます。」
「むむ。」
夫は気のない返事をして、その晩はまずそのままで寝てしまった。