Japanische Klassiker mit Furigana
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くろだじょすい
黒田如水
吉川 英治
Lesen Sie 黒田如水 (くろだじょすい) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.639 Zeichen · 325 Bildschirme
う……いやいや、すでにそうした最悪の情勢になり終っているのかも知れぬ」
そう思いつめると、今は官兵衛の生への執着も日毎にうすくなった。心のどこを探しても、滅失以外のものが見出し難いここちになった。
「むしろ死なんか!」
ある日、ふっと、そう思い出したら、矢もたてもなく、死にたくなった。
生を支えている骨と皮の肉体はそれほどに毎日の苦痛と闘っているものだったのである。灯りきれた灯皿の燈芯のように、精神力が枯渇を告げると、肉体はそのままでも――刃や他の何の力を加えないでもバタと朽木のように斃れて終ってしまいそうであった。
「待て」
彼は彼にいった。
あぶら汗のたれるような必死をもって自分の肉体へ告げた。
「いつでも死ねる。もうすこし待て。……オオ、あの高窓の藤蔓もいつか茂り、しかも短い花の房すら持って咲こうとしている。……そうだ、白藤か淡紫かあの花の咲くまで見ていよう」
陽あたりのわるいせいか、房は垂れているが花の咲くのは遅かった。
「やあ、今朝は咲いた。……紫であったか」
幾日目かである。
朝陽のもるる中に、彼は鮮やかな藤の花を見た。すぐ窓の下まで這っていって、手をのばしてみたが、花のふさには届かない。