Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

Lesen Sie 黒田如水 (くろだじょすい) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.639 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「ありがとうございました」

と頭をさげた。

眼もとに深淵の波紋のような笑みをちらとうごかしながら、半兵衛重治も、

「わたくしこそ」

と、膝から両手を辷らせた。

もう夜が明けていた。寺房の奥では、勤行の鐘の音がしているし、寺門に近い表のほうでは厩の馬がいなないていた。

三

岐阜城への用向きはすんでいたので、秀吉はすぐにも小谷の城へ帰る予定だったらしいが、官兵衛のために二日延ばして、信長からゆるしが来るとすぐ彼を伴って登城した。

信長との謁見は、正式でなかった。密使として、極くひそかに、一室で会ったのである。

ことし四十二歳という信長は実に若々しく仰がれた。秀吉よりも若く見えた。同室は三名だけで、会見の時間は、暑い昼中というのに、二刻にも余った。

官兵衛は説いた。あらゆる角度から観て、中国攻略の急務なることを説いた。一片のかざり気も詭弁も思ういとまなくただ真心を以て説いた。その気持が、彼自身で信じている以上の雄弁となって、果ては相手がいかなる貴人であるや否やも眼中になかった。

「――もしいま、一人の大将を下し給うて、中国征討の大事を実行あそばさるるなら、東播磨の明石城、高砂城の梶原ごときは、毛利麾下といわれていても、眼前のご威風に慴伏してしまうでしょう。