Japanische Klassiker mit Furigana
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くろだじょすい
黒田如水
吉川 英治
Lesen Sie 黒田如水 (くろだじょすい) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.639 Zeichen · 325 Bildschirme
二
「折入っておねがいの儀がござりまして」
ふたりは枯れ草の中へ面を埋めんばかりにいった。内容に就いては何もいわないうちに、すでに声涙ひとつの感情が半兵衛には聞きとれた。
二
鵙が高啼いている。山村の春はまだ浅い。
半兵衛は二人を従えて、疎林の蔭の日なたへ行った。ほかほかと暖かい萱の枯れ草をしとねにして彼は坐った。ふたりの士はその前に泣いたままで平伏している。
「……多くをいわんでもいい。お汝たちの気持はよう酌んでおる」
彼等の懸命なねがいのあらましを聞いて、半兵衛はこう慰めた。察していた通り、この者たちはすでに伊丹城中における官兵衛の奇禍も、また信長から出ている松千代の処分にたいする厳命も――世上の風聞によって疾く知っていたのである。
城主の半兵衛が、病を冒して帰って来たのは、安土の命もだしがたく、自分らの傅り育てている松千代の処決に見えられたものにちがいないということも、さすがに直感して、
(われら両名の生命を以て、何とぞ主人の和子様にお代えくだされたい)
と、路傍に待って、嘆願に出たものであった。これが家中に知れては、当然、異論も出て、きき届けられるわけもないという点まで考えて、この直訴をなしたものである。