Japanische Klassiker mit Furigana
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くろだじょすい
黒田如水
吉川 英治
Lesen Sie 黒田如水 (くろだじょすい) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.639 Zeichen · 325 Bildschirme
城外の防禦陣地にあって、敵の先鋒と戦っていた荒木の麾下が、そこの塹壕を捨てて、城中へ総退却し始めた八月初め頃から、伊丹の町中へも、織田勢の兵馬がはいって来て、町の機能は一時、まったく停まってしまった。
「おまえ達が敵ではない。おまえ達まで村重と共に謀反したわけではあるまい。働け、働け。平常どおり生業に就け」
織田軍は、布告しているが、恐ろしさに、町民は仕事も手につかないのである。
そのうちに、労力の徴発が始まった。伊丹城の四方に蜿蜒と長い壕を掘る仕事だった。また壕に沿って、塀や柵を二重三重に植て繞らす工事だった。おびただしい人員が、炎日の下に、蟻のように働いた。
これが完成すれば、いやでも伊丹城中の将士は、籠の鳥である。初めはさかんに矢を射たり小銃を乱射して、妨害を試みていたが、その矢玉も、城外の野戦でつかい尽し、すでに残り少ないことが織田軍にも見抜かれていた。しかし織田軍の作戦は、極力、味方を損じないように悠々、彼の壊滅を待つもののように見える。
その寄手の総大将は、信長の嫡子信忠であり、堀久太郎秀政、滝川左近将監一益などの諸将が、それを扶けていた。