Japanische Klassiker mit Furigana
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くろだじょすい
黒田如水
吉川 英治
Lesen Sie 黒田如水 (くろだじょすい) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.639 Zeichen · 325 Bildschirme
いやそうしてその生命と希望をも越えて、いよいよという最期にいたるもこれに乱されない澄明なものにまで、天地と心身をひとつのものに観じる修行でもあった。
「……わしは世の中に新しく生れ出たらしい」
ぽかんとした眼の奥で、官兵衛はいまそんなふうに思った。
美しい星がいっぱいに見えるのだ。世は秋であり、夜空は銀河を懸けている。
「何たる大きな空だろう」
生れたての嬰ん坊のように、彼のひとみは驚嘆して、この世の美に打たれている。知らず識らず眦から涙がながれて止まらない。涙は耳の穴をもこそぐった。この知覚さえ生きている証拠ではないか。有難さにまたも新しい泉がこんこんと涙腺を熱する。
「……乗っているのは戸板かな?」
やっと、そんな考えにまで及んで来た。しきりに体が揺れている。ぎしぎし、ぎしぎし、と何か軋む音がする。
「そうだ担架にのせられて、何処かへ担われてゆくのだ。さて、何処へ運んで行ってくれるのか」
何の悶えも疑いも抱こうとしても抱かれない。胸に問えば胸はただ感謝のみを答えるのであった。あたかもいにしえの聖賢のごとく、心は太虚に似、身は天地の寵児のごとき気持だった。