Clásicos japoneses con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lee 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) de 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 136.097 caracteres · 267 pantallas
が急にこみ上げて来たのは事実でございます。すべて人間というものは死んだからと言って、別にこの夫婦の愛情に何の変りがあるものではございませぬ。変っているのはただ肉体の有無だけ、そして愛情は肉体の受持ではないらしいのでございます。
が、一方にかくうれしさがこみあぐると同時に、他方には何やら空恐ろしいような感じが強く胸を打つのでした。何にしろここは幽界、自分は今修行の第一歩をすませて、現世の執着が漸くのことで少しばかり薄らいだというまでのよくよくの未熟者、これが幾十年ぶりかで現世の良人に逢った時に、果して心の平静が保てるであろうか、果して昔の、あの醜しい愚痴やら未練やらが首を擡げぬであろうか……何う考えて見ても自分ながら危ッかしく感じられてならないのでした。
そうかと思うと、私の胸のどこやらには、何やら気まりがわるくてしょうのないところもあるのでした。久し振りで良人と顔を合わせるのも気まりがわるいが、それよりも一層恥かしいのは神さまの手前でした。あんな素知らぬ顔をして居られても、一から十まで人の心の中を洞察かるる神様、『この女はまだ大分娑婆の臭みが残っているナ……。