Clásicos japoneses con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lee 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) de 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 136.097 caracteres · 267 pantallas
四、落城から死
それではごく手短かにそれだけ申上げることに致しましょう。今度こそ、いよいよそれっきりでおしまいでございます……。
四、落城から死
足掛三年に跨る籠城……月に幾度となく繰り返される夜打、朝駆、矢合わせ、切り合い……どっと起る喊の声、空を焦す狼火……そして最後に武運いよいよ尽きてのあの落城……四百年後の今日思い出してみる丈でも気が滅入るように感じます。
戦闘が始まってから、女子供はむろん皆城内から出されて居りました。私の隠れていた所は油壺の狭い入江を隔てた南岸の森の蔭、そこにホンの形ばかりの仮家を建てて、一族の安否を気づかいながら侘ずまいをして居りました。只今私が祀られているあの小桜神社の所在地――少し地形は異いましたが、大体あの辺だったのでございます。私はそこで対岸のお城に最後の火の手の挙るのを眺めたのでございます。
『お城もとうとう落ちてしまった……最早良人もこの世の人ではない……憎ッくき敵……女ながらもこの怨みは……。』
その時の一念は深く深く私の胸に喰い込んで、現世に生きている時はもとよりのこと、死んでから後も容易に私の魂から離れなかったのでございます。