Clásicos japoneses con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lee 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) de 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 136.097 caracteres · 267 pantallas
七十四、命乞い
七十四、命乞い
ここに私が神社に入ってから間もなく手にかけた事件がございますから、あまり珍らしくもありませぬが、それを一つお話しいたして見ましょう。それは水に溺れた五歳位の男の児の生命を助けたお話でございます。
その小供は相当地位のある人……たしか旗本とか申す身分の人の忰でございまして、平生は江戸住いなのですが、お附きの女中と申すのが諸磯の漁師の娘なので、それに伴れられてこちらへ遊びに来ていたらしいのでございます。丁度夏のことでございましたから、小供は殆んど家の内部に居るようなことはなく、海岸へ出て砂いじりをしたり、小魚を捕えたりして遊びに夢中、一二度は女中と一緒に私の許へお詣りに来たこともありました、普通なら一々参拝者を気にとめることもないのですが、右の女中と申すのが珍らしく心掛のよい、信心の熱い娘でございましたから、自然私の方でも目を掛けることになったのでございます。現と幽とに分れて居りましても、人情にかわりはなく、先方で熱心ならこちらでもツイその真心にほだされるのでございます。
すると或る日、この小供の身に飛んでもない災難が降って湧いたのでございます。