Clásicos japoneses con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lee 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) de 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 136.097 caracteres · 267 pantallas
六十三、昔の忠僕
標本として私が彼所で実家の忠僕及び良人に逢った話なりと致しましょうか。格別面白いこともございませぬが……。
六十三、昔の忠僕
私がある日海岸で遊んで居りますと、指導役のお爺さんが例の長い杖を突きながら彼方からトボトボと歩いて来られました。何うした風の吹きまわしか、その日は大へん御機嫌がよいらしく、老顔に微笑を湛えて斯う言われるのでした。――
『今日は思い掛けない人を連れて来るが、誰であるか一つ当てて見るがよい……。』
『そんなこと、私にはできはしませぬ……できる筈がございませぬ。』
『コレコレ、汝は何の為めに多年精神統一の修行をしたのじゃ。統一というものは斯うした場合に使うものじゃ……。』
『左様でございますか。ではちょっとお待ち下さいませ……。』
私は立ちながら眼を瞑って見ると、間もなく眼の底に頭髪の真白な、痩せた老人の姿がありありと映って来ました。
『八十歳位の年寄でございますが、私には見覚がありませぬ……。』
『今に判る……。ちょっと待って居るがよい。』
お爺さんはいとも気軽にスーッと巌山をめぐって姿を消して了いました。
しばらくするとお爺さんは私が先刻霊眼で見た一人の老人を連れて再びそこへ現われました。