Clásicos japoneses con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lee 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) de 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 136.097 caracteres · 267 pantallas
敦子さまは、斯んな風に語り出でました。――
『生前あなたにも、あるところまでお漏らししたとおり、私達夫婦の仲というものは、うわべとは大へんに異い、それはそれは暗い、冷たいものでございました。最初の恋に破れた私には、もともと他所へ縁づく気持などは少しもなかったのでございましたが、ただ老いた両親に苦労をかけては済まないと思ったばかりに、死ぬるつもりで躯だけは良人にささげましたものの、しかし心は少しも良人のものではないのでした。愛情の伴わぬ冷たい夫婦の間柄……他人さまのことは存じませぬが、私にとりて、それは、世にも浅ましい、つまらないものでございました……。嫁入りしてから、私は幾度自害しようとしたか知れませぬ。わたくしが、それもえせずに、どうやら生き永らえて居りましたのは、間もなく私が身重になった為めで、つまり私というものは、ただ子供の母として、惜くもないその日その日を送っていたのでございました。』
『こんな冷たい妻の心が、何でいつまで良人の胸にひびかぬ筈がございましょう。ヤケ気味になった良人はいつしか一人の側室を置くことになりました。それからの私達の間には前にもまして、一層大きな溝ができて了い、夫婦とはただ名ばかり、心と心とは千里もかけ離れて居るのでした。