Clásicos japoneses con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lee 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) de 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 136.097 caracteres · 267 pantallas
落城後間もなく、城跡の一部に三浦一族の墓が築かれましたので、私は自分の住居からちょいちょい墓参をいたしましたが、墓の前で眼を瞑って拝んで居りますと、良人の姿がいつもありありと眼に現われるのでございます。当時の私は別に深くは考えず、墓に詣れば誰にも見えるものであろう位に思っていました。私が三浦の土地を離れる気がしなかったのも、つまりはこの事があった為めでございました。当時の私に取りましては、死んだ良人に逢うのがこの世に於ける、殆んど唯一の慰安、殆んど唯一の希望だったのでございます。『何としても爰から離れたくない……』私は一図にそう思い込んで居りました。私は別に婦道が何うの、義理が斯うのと言って、六ヶしい理窟から割り出して、三浦に踏みとどまった訳でも何でもございませぬ。ただそうしたいからそうしたまでの話に過ぎなかったのでございます。
でも、私が死ぬるまで三浦家の墳墓の地を離れなかったという事は、その領地の人民の心によほど深い感動を与えたようでございました。『小櫻姫は貞女の亀鑑である』などと、申しまして、私の死後に祠堂を立て神に祀ってくれました。それが現今も残っている、あの小桜神社でございます。