Clásicos japoneses con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lee 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) de 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 136.097 caracteres · 267 pantallas
そうする中に私の意識は少しづつ回復してまいりました。
『自分はとうとう死んで了ったのか……。』
死の自覚が頭脳の内部ではっきりすると同時に、私は次第に激しい昂奮の暴風雨の中にまき込まれて行きました。私が先ず何よりつらく感じたのは、後に残した、老いたる両親のことでした。散々苦労ばかりかけて、何んの報ゆるところもなく、若い身上で、先立ってこちらへ引越して了った親不孝の罪、こればかりは全く身を切られるような思いがするのでした。『済みませぬ済みませぬ、どうぞどうぞお許しくださいませ……』何回私はそれを繰り返して血の涙に咽んだことでしょう!
そうする中にも私の心は更に他のさまざまの暗い考えに掻き乱されました。『親にさえ背いて折角三浦の土地に踏みとどまりながら、自分は遂に何の仕出かしたこともなかった! 何んという腑甲斐なさ……何んという不運の身の上……口惜しい……悲しい……情けない……。』何が何やら、頭脳の中はただごちゃごちゃするのみでした。
そうかと思えば、次ぎの瞬間には、私はこれから先きの未知の世界の心細さに慄い戦いているのでした。『誰人も迎えに来てくれるものはないのかしら……。