Clásicos japoneses con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lee 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) de 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 136.097 caracteres · 267 pantallas
私はもと京の生れ、父は粟屋左兵衞と申して禁裡に仕えたものでございます。私の名は佐和子、二十五歳で現世を去りました。私の地上に居った頃は朝廷が南と北との二つに岐れ、一方には新田、楠木などが控え、他方には足利その他東国の武士どもが附き随い、殆んど連日戦闘のない日とてもない有様でした……。私の父は旗色の悪い南朝方のもので、従って私どもは生前に随分数々の苦労辛酸を嘗めました……。』
問『まあそれはお気の毒なお身の上……私の身に引きくらべて、心からお察し致します……。それにしても二十五歳で歿なられたとの事でございますが、それまでずっとお独身で……。』
答『独身で居りましたが、それには深い理由があるのです……。実は……今更物語るのもつらいのですが、私には幼い時から許嫁の人がありました。そして近い内に黄道吉日を択んで、婚礼の式を挙げようとしていた際に、不図起りましたのがあの戦乱、間もなく良人となるべき人は戦場の露と消え、私の若き日の楽しい夢は無残にも一朝にして吹き散らされて了いました……。それからの私はただ一個の魂の脱けた生きた骸……丁度蝕まれた花の蕾のしぼむように、次第に元気を失って、二十五の春に、さびしくポタリと地面に落ちて了ったのです。