Clásicos japoneses con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lee 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) de 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 136.097 caracteres · 267 pantallas
むろん精神を統一して凝乎と深く考え込めば、どんな昔の事柄でもはっきり想い出すことができないではありませぬ。しかもその当時の光景までがそっくりそのまま形態を造ってありありと眼の前に浮び出てまいります。つまり私どもの境涯には殆んど過去、現在、未来の差別はないのでございまして。……でも無理にそんな真似をして、足利時代の絵巻物をくりひろげてお目にかけて見たところで、大した価値はございますまい。現在の私としては到底そんな気分にはなりかねるのでございます。
と申しまして、私が今いきなり死んでからの物語を始めたのでは、何やらあまり唐突……現世と来世との連絡が少しも判らないので、取りつくしまがないように思われる方があろうかと感ぜられますので、甚だ不本意ながら、私の現世の経歴のホンの荒筋丈をかいつまんで申上げることに致しましょう。乗りかけた船とやら、これも現世と通信を試みる者の免れ難き運命――業かも知れませぬ……。
私は――実は相州荒井の城主三浦道寸の息、荒次郎義光と申す者の妻だったものにございます。現世の呼名は小櫻姫――時代は足利時代の末期――今から約四百余年の昔でございます。