Clásicos japoneses con furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lee 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) de 三上 於菟吉 (みかみおときち) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 344.083 caracteres · 673 pantallas
こんな風に閉じこめられているあたしを、哀れだと思って、寝酒の一杯も、わざわざ飲ませに来てくれたお前さんだ。煮え湯を飲ませてどうするものかね? あたしも、随分道楽もして見たが、まだ窖酒ッてなあ飲んだことがないんだから、ゆっくり一度、酔って見たいと思うんだよ」
「どうかまあ、今夜だけは、そういう気持で、いてもれえてえね――敵も味方もなしにして――おいらも、何だか、いやにうれしくなって来てならねえ――」
ぐうっと、一息に茶碗酒をつくして、相手に献して、法印は、膝がしらを揃えて酌をする。
「ほ、ほ、ほ――膝をくずさないところは、さすが、お庵主さまだねえ――ほ、ほ、ほ」
「は、は、どうも、姐御は、口がわるいよ」
不思議な男女、荒れ寺のあなぐらで、この初冬の夜を飲みあかそうと、献しつ押えつ、献酬がはじまった。世の中に、どんな珍景が多いにしろ、この酒盛ほど、めずらしいものは少ないだろう――しかも、場面が凄い筈なのに、すこしも凄惨さがなく、どことなく伸び伸びしているのは、島抜け法印の、持って生れた諧謔味が、空気を和やかなものにしているせいであろう。
「へへへ、こうして、姐御と、飲っていると、何か、こう小意気な咽喉でもころがしたくなって来るなあ」