Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lisez それでも私は行く (それでもわたしはいく) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 708 caractères · 181 écrans

Aozora Bunko

(財布を知らぬ間に弓子に掏られていたことは、読者も知っていよう)

電話はなかなか掛らなかった。信号は呼んでいるのだが、誰もいないのか、いくら待っても、電話口へ出て来ない。

小郷はいらいらして来た。

狭い電話室の中で、神経をたかぶらせていると、小郷はだんだん息苦しくなって、目まいがしそうだった。

やっと出て来た。

女中のお雪だった。お雪は半泣きの声で、

「小郷でございます」

「わしじゃ」

「あ、旦那様ですか」

お雪は、絶え入りそうな声だった。

「いくら呼んでも電話口へ出て来ないじゃないか。莫迦ッ!」

「はい済みません」

お雪は泣いていた。

「泣かんでもよろしい!」

小郷は自分が叱って泣いたのだと思った。

「旦那様ッ!」

お雪は急にわッと泣声をあげて、

「――旦那様ッ! 坊ン坊ンが……」

「幹男が……?」

と、小郷はふと不安な予感がした。

「――幹男がどうしたんじゃ」

「おなくなりになりました」

幹男は自殺したのだった。

女中のお雪に孕ませた罪の苦悩は、この少年にはもはや堪え切れぬくらい大きかった。

「えッ! 死んだッ……?」

「はいッ!」

「泣いてちゃ判らん」

「奥さんを呼べ! 奥さんを……」