Classiques japonais avec furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Lisez それでも私は行く (それでもわたしはいく) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 708 caractères · 181 écrans
八
使い切れぬぐらいの新円を銀行から引き出していたのだ。
小郷にそんな野心があるとは、鈴子は気づかず、君勇に話しかけた。
「君勇姐さん、ええ扇子お持ちどんな」
「えッ?」
君勇はわれにもあらずどぎまぎした。
扇子には鶴の絵が描かれているのだ。鶴雄の鶴に因んだ絵だとは知られたくない。
「それどこでお買いやしたんどす……?」
「河原町で……」
と、言いかけて、君勇はいきなり、
「――ほしかったら、あんたにあげる」
「おおーけに……」
鈴子は無邪気にその扇子を受け取った。
そこへ女中が、
「あの、新聞社の方がお見えどす」
と、知らせて来た。
八
弓子は先斗町を通るのははじめてだったが、路地の中ですれちがった芸者をつかまえて、
「桔梗家ってどこでしょう……?」
と、きくとふっと、赧くなりながら、教えてくれた。
その芸者が赧くなったのは、そこが鶴雄の家で、その芸者が鶴雄に岡惚れしているからだとは、無論弓子には判るはずはなかった。
いや、鶴雄が先斗町に住んでいることすら、弓子は知らないのだ。
知らずに、弓子は女中に案内されて、小郷のいる部屋へはいって行った。
その部屋には、男は小郷ひとりだから、すぐ、