Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lisez それでも私は行く (それでもわたしはいく) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 708 caractères · 181 écrans

Aozora Bunko

二

「今日は姉さんがいないんだからどんな事でも自由に出来たのに……」

と、思うと、寄道せずに帰って来たことが一寸後悔されて、満たされぬ享楽欲のはけ口を求めてもう一度町へ引き返そうかと、ふと振り向いた途端、橋を渡って来る若い学生の顔が眼にはいった。

鶴雄だった。宮子は思わず眼を輝かせた。

二

宮子は急に立ち停って、橋の欄干に凭れる真似をしながら、鶴雄の行き過ぎるのを待った。

そして、横眼を使いながら鶴雄の顔をじっと見つめた。

美しい。

宮子はふっと溜息が出るくらいの悩ましさに、胸がしめつけられた。

「町へ引きかえすのはよそう」

宮子は鶴雄が橋を渡って、撮影所のある通りへ折れて行くのを見ると、そう呟いて鶴雄のあとをつけて行った。

「――あの学生、もしかしたら、下鴨に下宿しているのかも知れない」

下宿をつき止めようと思ったのだ。

下宿さえつき止めて置けば、あとは同じ下鴨だから、近づいて行く手段はいくらでもある。

宮子がそう思ったのは、実は、彼女は昔下鴨から女専へ通っていた頃、やはり同じ下鴨の下宿から三高へ通っている学生に、彼女の方から話しかけて親しくなったあげく、その学生の下宿でありきたりの関係に陥ったことがある。