Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lisez それでも私は行く (それでもわたしはいく) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 708 caractères · 181 écrans

Aozora Bunko

の訳者の桑山竹夫が、

「つまり、ジュリアン・ソレルかね。いいじゃないか。ジュリアン・ソレルにしてみるのも……」

と言った。

ジュリアン・ソレルというのは、「赤と黒」の主人公で、美貌の少年である。貧しい家に育ったが、天才的に記憶力がよく、ラテン語を自由自在に操る点を買われて、町長のレナール家に家庭教師として住み込んだところ、レナール夫人と恋愛関係に陥ったので、追われて神学校にはいり、のち伯爵家の秘書に雇われると、伯爵の令嬢のマチルドを誘惑し、最後に嫉妬からレナール夫人をピストルで射ったために、死刑になったという男である。

その生涯を表面的に観察すればいかにも芳しくない人物だが、しかし、貧しく卑しい育ちでありながら、比類なき自尊心の強さと、精神の高貴さと、つねに自分以外の何ものをも頼らず信ぜず、ギリギリ一杯に生きるという情熱の激しさで、いかなる青年も真似ることの出来ない第一級の人物であったから、かえって多くの模倣者即ちソレリアンを生んだ。

それほど、この「赤と黒」の主人公は影響力の強い人物であった。

鶴雄もジュリアン・ソレルを自分に擬し、ジュリアンのような生き方に憧れることにかけては、人後に落ちなかった。