Classiques japonais avec furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lisez みみずのたはこと (みみずのたわこと) de 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 265 437 caractères · 530 écrans
二
武蔵野の土あらしも、やわか劣る可き。遠方から見れば火事の煙。寄って来る日は、眼鼻口はもとより、押入、箪笥の抽斗の中まで会釈もなく舞い込み、歩けば畳に白く足跡がつく。取りも直さず畑が家内に引越すのである。
都をば塵の都と厭ひしに
田舎も土の田舎なりけり
あまり吹かれていさゝかヤケになった彼が名歌である。風が吹く、土が飛ぶ、霜が冴える、水が荒い。四拍子揃って、妻の手足は直ぐ皸、霜やけ、あかぎれに飾られる。オリーヴ油やリスリンを塗った位では、血が止まらぬ。主人の足裏も鯊の顋の様に幾重も襞をなして口をあいた。あまり手荒い攻撃に、虎伏す野辺までもと跟いて来た糟糠の御台所も、ぽろ/\涙をこぼす日があった。以前の比較的ノンキな東京生活を知って居る娘などが逗留に来て見ては、零落と思ったのであろ、台所の隅で茶碗を洗いかけてしく/\泣いたものだ。
二
主人は新鋭の気に満ちて、零落どころか大得意であった。何よりも先ず宮益の興農園から柄の長い作切鍬、手斧鍬、ホー、ハァト形のワーレンホー、レーキ、シャヴル、草苅鎌、柴苅鎌など百姓の武器と、園芸書類の六韜三略と、種子と苗とを仕入れた。