Classiques japonais avec furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lisez みみずのたはこと (みみずのたわこと) de 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 265 437 caractères · 530 écrans
十一
樫の木の下は、ドングリが箒で掃く程だ。最早豌豆や蚕豆も蒔かねばならぬ。蕎麦も霜前に苅らねばならぬ。また其れよりも農家の一大事、月の下旬から来月初旬にかけて、最早麦蒔きがはじまる。後押しの二人もついて、山の如く堆肥を積んだ車が頻に通る。先ず小麦を蒔いて、後に大麦を蒔くのである。奇麗に平した畑は一条一条丁寧に尺竹をあて、縄ずりして、真直ぐに西から東へ畝を立て、堆肥を置いて土をかけ、七蔵が種を振れば、赤児を負った若いかみさんが竹杖ついて、片足かわりに南から北へと足で土をかけて、奇麗に踏んづけて行く。燻炭肥料の、条播のと、農会の勧誘で、一二年やって見ても、矢張仕来りの勝手がよい方でやって行くのが多い。
十一
霜らしい霜は、例年明治天皇の天長節、十一月三日頃に来る。手を浄めに前夜雨戸をあくれば、鍼先を吹っかくる様な水気が面を撲って、遽てゝもぐり込む蒲団の中でも足の先が縮こまる程いやに冷たい、と思うと明くる朝は武蔵野一面の霜だ。草屋根と云わず、禾場と云わず、檐下から転び出た木臼の上と云わず、出し忘れた物干竿の上のつぎ股引と云わず、田も畑も路も烏の羽の上までも、真白だ。