Classiques japonais avec furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lisez みみずのたはこと (みみずのたわこと) de 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 265 437 caractères · 530 écrans
二
吾儕は世界の草の種を除り尽すことは出来ぬ。除り尽すことは、また我儕人間の幸福でないかも知れぬ。然しうっちゃって置けば、我儕は草に埋もれて了う。そこで草を除る。己が為に草を除るのだ。生命の為に草をとるのだ。敵国外患なければ国常に亡ぶで、草がなければ農家は堕落して了う。
「爾我言に背いて禁菓を食いたれば、土は爾の為に咀わる。土は爾の為に荊棘と薊を生ずべし。爾は額に汗して苦しみて爾のパンを食わん」
斯く旧約聖書は草を人間の罰と見た。実は此の罰は人の子に対する深い親心の祝福である。
二
美的百姓の彼は兎角見るに美しくする為に草をとる。除るとなれば気にして一本残さずとる。農家は更に賢いのである。草を絶やすと地力を尽すと云う。草をとって生のまゝ土に埋め、或は烈日に乾燥させ、焼いて灰にし、積んで腐らし、いずれにしても土の肥料にしてしまう。馴付けた敵は、味方である。「年々や桜を肥す花の塵」美しい花が落ちて親木の肥料になるのみならず、邪魔の醜草がまた死んで土の肥料になる。清水却て魚棲まず、草一本もない土は見るに気もちがよくとも、或は生命なき瘠土になるかも知れぬ。本能は滅す可からず、不良青年は殺さずして導く可きであることを忘れてはならぬ。