Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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がくせいものがたり

楽聖物語

野村 あらえびす

Lisez 楽聖物語 (がくせいものがたり) de 野村 あらえびす (のむらあらえびす) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 193 667 caractères · 381 écrans

Aozora Bunko

がヘンデルに力を貸して、最後の勝利の栄冠はついに彼の頭上を飾ったのである。

五十五歳のヘンデルは、続いて器楽曲の傑作「大協奏曲」十二曲を書いた。彼の人格と人間愛とを彫みつけた作品である。が、社会は決してヘンデルに寛大であったわけではない。反対派の跳梁は益々辛辣をきわめ、街の浮浪児を雇って、彼の演奏会のビラを剥がす者があり、彼の演奏会の日には他のイタリーオペラへ行くのが上流社会の一つの流行でさえあった。貴婦人達はヘンデルの演奏会の日にパーティを開いたり、お祭騒ぎをしたことさえある。ヘンデルは空っぽのホールを眺めて、「この方がおれの音楽がかえって立派に聴える」と負け惜しみを言わなければならなかった。

ヘンデルは幾度か破滅に瀕して、とうとうイギリスに愛想を尽かしてしまった。三十年来住み馴れたイギリスを去る決心をして、最後の演奏会を開いたのは一七四一年の春である。

アイルランドの総督が永久に去り行くヘンデルを惜しんで、ダブリンに招いてしばらくコンサートを指揮させた時のことである。

ヘンデルはついに、友人ジュネンの編集した聖書の言葉に付して、畢世の大傑作、聖譚曲「救世主」