Classiques japonais avec furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lisez みみずのたはこと (みみずのたわこと) de 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 265 437 caractères · 530 écrans
二
身を捩り、あっと云って刎ね飛ばせば、虫のくせに猪口才な、頭と尾とで寸法とって信玄流に進む尺蠖とは、気もちの悪い一対である。此等は何れも嬉しくない連中だが、然しまだ/\蛇には敵わぬ。
二
蛇嫌いは、我等人間の多数に、祖先から血で伝わって居る。話で聞き、画で見、幼ない時から大蛇は彼の恐怖の一であった。子供の時から彼はよく蛇の夢を見た。今も心身にいやな事があれば、直ぐ蛇を夢に見る。現に彼が蛇を見たのは五六歳の頃であった。腫物の湯治に、郷里熊本から五里ばかり有明の海辺の小天の温泉に連れられて往った時、宿が天井の無い家で、寝ながら上を見て居ると、真黒に煤けた屋根裏の竹を縫うて何やら動いて居た。所謂青大将であったが、是れ目に見ていやなものと蛇を思う最初であった。
彼の兄は彼に劣らぬ蛇嫌いで、ある時家の下の小川で魚を抄うとて蛇を抄い上げ、きゃっと叫んで笊を抛り出し、真蒼になって逃げ帰ったことがある。七八歳の頃、兄弟連れ立っての学校帰りに、川泳ぎして居た悪太郎が其時は一丈もあろうと思うた程の大きな青大将の死んだのを路の中央に横たえて恐れて逡巡する彼を川の中から手を拍って笑った。