Classiques japonais avec furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lisez みみずのたはこと (みみずのたわこと) de 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 265 437 caractères · 530 écrans
春の暮
劇中劇の幕の終、ハムレットの狂喜が殊に好かった。諫言の場もハムレットの出来は好かった。矢張王妃が強過ぎた。ポロニアスは手に入ったもの。ホラシオは間がぬけた。オフィリャの狂態になっての出は凄く好かった。墓場で墓掘の歌う声が実に好く、仕ぐさも軽妙であった。
要するに帝国劇場は荘麗なもの、沙翁劇は真面目で案外面白いものであった。
大詰の幕がひかれたのが、九時過ぎ。新宿から車で帰る。提灯の火が映る程、街道は水が溜って居る。
「降ったね」
「えゝ/\。ひどい降りでした。上では雹が降ったてます」
余等が帝劇のハムレットに喜憂を注いで居る間に、北多摩では地が真白になる程雹が降った。余が畑の小麦も大分こぼれた。隣字では、麦は種がなくなり、桑も蔬菜も青い物全滅の惨状に会うた。
(明治四十四年 五月二十四日)
春の暮
庭石菖、またの名は草あやめの真盛りである。茜がかった紫と白と、一本二本はさしてめでたい花でもないが、午の日を受けて何万となく庭一面に咲く時は、緑の地に紫と白の浮き模様、花毛氈を敷いた様に美しい。見てくれる人がないから、日傭のおかみを引張って来て見せる。
草あやめの外には、芍薬、紫と白と黄の渓、薔薇、石竹、矍麦、虞美人草、花芥子、紅白除虫菊、皆存分に咲いて、庭も園も色々に明るくなった。