Classiques japonais avec furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lisez みみずのたはこと (みみずのたわこと) de 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 265 437 caractères · 530 écrans
蜩
畢竟宇宙は大円。生命は共通。強い者も弱い。弱い者も強い。死ぬるものが生き、生きるものが死に、勝つ者が負け、負ける者が勝ち、食う者が食われ、食われるものも却て食う。般若心経に所謂、不増不減不生不滅不垢不浄、宇宙の本体は正に此である。
然し我等は人間である。差別界に住んで居る。煩悩もある。愚痴もある。我等は精神的に生きんと欲する如く、肉体の命も惜しい。吾情を以て他を推す時、犠牲の叫びは聞きづらい。
ダァヰンの兄弟分ワレース博士は、蛇にのまるゝ蛙は苦しい処ではない、一種の温味にうっとりとなって快感を以て蛇の喉を下るのだ、と云うた。大役小志の志賀氏は、旅順戦役を描いて、決死の兵士は精神的高調に入って、所謂苦痛なるものを大して感じない、と云って居る。如何にも道理で、また事実さもあろうと思わるゝ。
然し我々は人間である。犠牲の声は聞きづらい。
(明治四十五年 七月二十日)
蜩
今年の自家の麦は、大麦も小麦も言語道断の不作だ。仔細は斯様である。昨秋の麦蒔に馬糞を基肥に使った。其れが世田ヶ谷騎兵聯隊から持って来た新しい馬糞で、官馬の事だから馬が食ってまだよく消化しない燕麦が多量に雑って居た。