Classiques japonais avec furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lisez みみずのたはこと (みみずのたわこと) de 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 265 437 caractères · 530 écrans
素裸になってた落葉木は、従順に雪の積るに任せて居る。枯萩の一叢が、ぴったりと弓形に地に平伏して居る。余は思わず声を立てゝ笑った。背向きの石地蔵が、看護婦の冠る様な白い帽子を被せられ、両肩には白い雪のエパウレットをかついで澄まして立ってござるのだ。
余は障子をしめて内に入り、仕事にかゝる前に二通の手紙を書いた。筑波山下の医師なる人に一通。東京銀座の書店主人に一通。水国の雪景色と、歳晩の雪の都会の浮世絵が幻の如く眼の前に浮ぶ。手紙を書き終えて、余は書き物をはじめた。障子が段々眩しくなって、時々吃驚する様な大きな響をさしてドサリ撞と雪が落ちる。机の傍では真鍮の薬鑵がチン/\云って居る。
午餐の案内に鶴子が来た。室を出て見ると、雪はぽつり/\まだ降って居るが、四辺は雪ならぬ光を含んで明るく、母屋前の芝生は樫の雫で已に斑に消えて居る。
「何だ、此れっ切りか。春の雪の様だね」
斯く罵りつゝ食卓に就く。黒塗膳に白いものが三つ載せてある。南天の紅い実を眼球にした兎と、竜髭の碧い実が眼球の鶉や、眉を竜髭の葉にし眼を其実にした小さな雪達磨とが、一盤の上に同居して居る。