Classiques japonais avec furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans
二十二
「鞭を止めよ。」と、反耶はいった。
「王よ、使部は死んでいる。」と一人の兵士は彼にいった。卑弥呼は振り向いて反絵の胸を指差した。
「彼らを殺した者は爾である。」
反絵は言葉を失った唖者のように、ただその口を動かしながら卑弥呼の顔を見守っていた。
「来れ。」
と反耶は卑弥呼にいった。そうして、卑弥呼の手をとると、彼は彼女を酒宴の広間の方へ導いていった。
「待て、不弥の女、待て。」と反絵は叫びながら二人の後を追いかけた。
二十二
卑弥呼は竹皮を編んで敷きつめた酒宴の広間へ通された。松明の光に照された緑の柏の葉の上には、山椒の汁で洗われた山蛤と、山蟹と、生薑と鯉と酸漿と、まだ色づかぬ猴桃の実とが並んでいた。そうして、蓋のとられた行器の中には、新鮮な杉菜に抱かれた鹿や猪の肉の香物が高々と盛られてあった。その傍の素焼の大きな酒瓮の中では、和稲製の諸白酒が高い香を松明の光の中に漂わせていた。最早や酔の廻った好色の一人の宿禰は、再び座についた王の後で、侍女の乳房の重みを計りながら笑っていた。卑弥呼は盃をとりあげた王に、柄杓をもって酒を注ごうとすると、そこへ荒々しく馳けて来たのは反絵であった。