Classiques japonais avec furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans
二十四
」
反絵は彼の片眼に怨恨を流して卑弥呼を眺めていた。しかし、間もなく、戦いに疲れた獣のように彼は足を鈍らせて部屋の外へ出ていった。卑弥呼は再び床の上へ俯伏せに身を崩した。彼女は彼女自身の身の穢れを思い浮べると、彼女を取巻く卑狗の大兄の霊魂が今は次第に彼女の身辺から遠のいて行くのを感じて来た。彼女の身体は恐怖と悔恨とのために顫えて来た。
「ああ、大兄、我を赦せ、我を赦せ、我のために爾は返れ。」
彼女は剣を握ったまま泣き伏していたとき、部屋の外からは、突然喜びに溢れた威勢よき反絵の声が聞えて来た。
「卑弥呼、我は奴国を攻める。我は奴国を砂のように崩すであろう。」
二十四
耶馬台の宮では、一人として王を殺害した反絵に向って逆うものはなかった。何故なら、耶馬台の宮の人々には、彼の狂暴な熱情と力とは、前から、国境に立ち昇る夜の噴火の柱と等しい恐怖となって映っていたのであったから。しかし、君長の葬礼は宮人たちの手によって、小山の頂きで行われた。二人の宿禰と九人の大夫に代った十一の埴輪が、王の柩と一緒に埋められた。そうして、王妃と、王の三頭の乗馬と、三人の童男とは、殉死者として首から上を空間に擡げたままその山に埋められた。