Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

がくせいものがたり

楽聖物語

野村 あらえびす

Lisez 楽聖物語 (がくせいものがたり) de 野村 あらえびす (のむらあらえびす) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 193 667 caractères · 381 écrans

Aozora Bunko

シルレルの詩をかりた、終結章の歓喜の歌は天へも響けと高鳴る――。音楽がこれほど雄大な形式を持ったことはかつてなく、芸術がこれほど人に訴えたことはかつてない。後年ワグナーが失意と貧困とにさいなまれて、自暴自棄の心持になり切ったとき、「第九交響曲」を聴いて大熱を発するほど感激し、奮然起ってあの大成功への道を歩んだという有名な逸話がある。

「第九」以後のベートーヴェンは、次第にその晩年を特色づけた閑寂な境地に入っていった。耳疾も、孤独も、不平も、何もかも征服して、大きな諦観が巨人の魂を和めたのである。わけても甥のカールの厄介な問題が片づいた後は心の声を五線紙に表現するために、弦楽四重奏曲の形式をかりることに余念もなかった。

外界の音と絶った大音楽家が、四つの弦楽器のために作曲した後期の四重奏曲はまことに尊い(作品一二七、一三〇、一三一、一三二、一三五)。これなどは経済的にはベートーヴェンを救わなかったが、後世のわれわれにとっては何物にも換え難き珠玉である。官能を断ち、世を断ったベートーヴェンの心の声が、弦楽四重奏曲という形をかりて、大諦観の聖らかな美しさを、心行くまで描くのである。