Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans

Aozora Bunko

それゆえ出征した時も、入院中も均平はちょっと顔を合わしただけで、お互いに胸を披くようなことはなかった。均一は工科を卒業するとすぐ市の都市課に入り、三月も出勤しないうちに、第一乙で徴召され、兵営生活一年ばかりで、出征したのだったが、中学時代にも肋膜で、一年ばかり本家の別荘で静養したこともあった。

手紙を読んだ均平の頭脳に、いろいろの取留めない感情が往来した。早産後妻が病院で死んだこと、そのころから三村本家の人たちの感情がにわかに冷たくなり、自分の気持に僻みというものを初めて経験したこと、郁子の印鑑はもちろん、名義になっている公債や、身につけていた金目の装身具など、誰かいつの間にもって行ったのか、あらかたなくなっていたことも不愉快であった。均平はそれを口にも出さなかったが、物質に生きる人の心のさもしさが哀れまれたり、先輩の斡旋でうっかりそんな家庭に入って来た自身が、厭わしく思えたりした。世話した先輩にも、どうしてみようもなかったが、均平も醜い争いはしたくなかった。

「どうしたんです。」

均平が黙って俛いているので、銀子はきいた。

「いや、均一が富士見へ行ってるそうで、己に逢いたいそうだ。