Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
三
富士見へおりたのは四時ごろであった。小雨がふっていたが、駅で少し待っていると、誰かを送って来た自動車が還って来て、それに乗ることができた。銀子はここを通過して、上諏訪で宿を取ることにしてあったので、均平は独りで青嵐荘へと車を命じた。ここには名士の別荘もあり、汽車も隧道はすでに電化されており、時間も短いので、相当開けていることと思っていたが、降りて見て均平は失望した。もちろん途中見て来たところでは、稲の植えつけもまだ済まず、避暑客の来るには大分間があったが、それにしても、この町全体が何か寒々していた。
青嵐荘は町筋を少し離れた処にあった。石の門柱が立っており、足場のわるいだらだらした坂を登ると、ちょうど東京の場末の下宿屋のような、木造の一棟があり、周囲に若い檜や楓や桜が、枝葉を繁らせ、憂鬱そうな硝子窓を掠めていた。
三
玄関から声かけると、主婦らしい小肥りの女が出て来て、三村加世子がいるかと訊くと、まだ冬籠り気分の、厚い袖無しに着脹れた彼女は、
「三村さんですか。お嬢さまは療養所へ行ってお出でなさいますがね、もうお帰りなさる時分ですよ。どうぞお上がりなすって……。