Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans

Aozora Bunko

終いに彼女は哀願した。

「ねえ、わかってくれるでしょう。私貴方を愛しているのよ。私いつでも貴方のものなのよ。でも田舎の人の口というものは、それは煩いものなのよ。私のことはいいにつけ悪いにつけすぐ問題になるのよ。母や兄をよくするためにも、山路さんと結婚しておく必要があるのよ。ほんとに私を愛してくれているのなら、そのくらいのこと許してよ。」

一色は顔負けしてしまった。

ちょうどそのころ、久しぶりで庸三の書斎へ彼女が現れた。彼女は小ざっぱりした銘仙の袷を着て、髪も無造作な引詰めの洋髪であった。

「先生、私、山路と結婚しようと思いますのよ。いけません?」

葉子はいつにない引き締まった表情で、彼の顔色を窺った。

「山路君とね。」

庸三は少し難色を浮かべた。淡い嫉妬に似た感情の現われだったことは否めなかった。

「あまり感心しない相手だけれど……。」

「そうでしょうか。でも、もう結婚してしまいましたの。」

「じゃあいいじゃないか。」

「山路が先生にお逢いしたいと言っておりますのよ。」

「一緒に来たんですか。」

「万藤の喫茶店におりますの。もしよかったら先生もお茶を召し食りに、お出でになって下さいません?」