Classiques japonais avec furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
庸三はあッとなったものだが、材料払底の折だったので、健康がやや恢復したところで、もう一度同行するように弁護士に当たってみた。しかし何か金銭問題の引っかかりでもあるらしく、「先生一人の方がええですよ」と、彼は辞した。――それきりになっていた。
一日おいて葉子が書斎に現われた。彼女は不意に母に死なれて、手を延ばしてくれさえすれば誰にでも寄りついて行く、やっと九つになったばかりの、庸三の末の娘の咲子を膝にしていた。咲子はいつとなし手触りの好い葉子に懐いていた。葉子はぽたぽた涙を落としながら、自分に誠意があってのことだと訴え、一色から報告された庸三の非難の言葉に怨みを述べ立てた。泣き落しという手のあることも知らないわけではなかったけれど、やっと二十六やそこいらの、お嬢さん育ちの女をそういうふうに見ることも、彼の趣味ではなかった。醜い涙顔に冷やかな目を背向けるとは反対に、彼は瞬間葉子を見直した。彼女は一色に小ッぴどくやっつけられて、出直して来たものらしかったが、何か擽ったいようなその言葉も、大して彼の耳には立たなかった。
「時々来て家を見てくれるくらいは結構です。