Classiques japonais avec furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
均平は加世子と枕を並べて寝ながら、そんなことを考えていたが、加世子は少し離れて入口の方に寝ている女中と、お付きの女が氷をかいている患者のことや、療養所の看護婦や、均一と同室のいつもヴァイオリンをひいている患者の噂などで、しばらくぼそぼそと話をしていた。
均平はもしかしたら、銀子を一足先へ帰して、二三日この山荘に逗留し、山登りでもしてみたいような気もしたが、どうせ同棲というわけにもいかない運命だと思うと、愛着を深くしない方が、かえって双方の幸福だという気もして口へは出さなかった。
ラジオは戦争のニュースであった。
「まだやってるわ。寝られないわ。」
加世子が寝返りした。
「それに雨がふるんですもの。」
女中が答えた。
「明日晴れるかしら。ここはお天気のいい日はとてもいいんですわ。お父さんしばらくいらしてもいいんでしょう。」
「さあ、それでもいいんだが、誰か東京から来やしないか。それに己もここは一日のつもりで来たんだから。」
加世子は黙って天井を見詰め、むっちりした白い手を出して、指先で頭をかいていたが、またごそごそ身動きをしたと思うと、今度は後ろ向きになって眠った。