Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans

Aozora Bunko

そういう時に限って、彼女はまた別の肉体に愛情を感ずると見えて、傍の目が一齊に舞台に集まっているなかで、その手が庸三にそっと触れて来るのであった。

鴈治郎の大晏寺は、庸三の好きなものの一つであった。役としての春藤某の悲痛な運命の下から、彼の大きな箇性が、彼の大きな頭臚のごとく、愉快ににゅうにゅう首を持ちあげて来るのが面白かった。

「ふふむ!」

と葉子も頬笑みながら見惚れていた。

二番目の同じ人の忠兵衛はすぐ真上から見おろすと、筋ばった白い首のあたりは、皺がまざまざ目立って、肩から背へかけての後ろ姿にも、争えない寂しさがあった。庸三は大阪で初めて見た花々しい彼の三十代以来の舞台姿を、長いあいだ見て来ただけに、舞台のうえの人気役者に刻んで行く時の流れの痕が、反射的に酷く侘しいものに思われてならなかった。

それから中二日ほどおいて、ある夕方葉子の二階の部屋に二人いるところへ、女中のお八重が「今運転士さんが、これを持って来て、お迎えに来ました。」と言って、結び文のようなものを、そっと葉子に手渡した。

葉子は麻布のホテルで逢って来て以来、秋本のことをあまりよくは噂しなかった。