Classiques japonais avec furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
それはことに今日初めて見る風景でもなかったが、食事前後にわたってかなり長い時間のことなので、ナイフを使いながら窓から見下ろしている均平の目に、時節柄異様の感じを与えたのも無理はなかった。
ここはおそらく明治時代における文明開化の発祥地で、またその中心地帯であったらしく、均平の少年期には、すでに道路に煉瓦の鋪装が出来ており、馬車がレールの上を走っていた。ほとんどすべての新聞社はこの界隈に陣取って自由民権の論陣を張り、洋品店洋服屋洋食屋洋菓子屋というようなものもここが先駆であったらしく、この食堂も化粧品が本業で、わずかに店の余地で縞の綿服に襷がけのボオイが曹達水の給仕をしており、手狭な風月の二階では、同じ打の男給仕が、フランス風の料理を食いに来る会社員たちにサアビスしていた。尾張町の角に、ライオンというカフエが出来、七人組の美人を給仕女に傭って、慶応ボオイの金持の子息や華族の若様などを相手にしていたのもそう遠いことではなかった。そのころになると、電車も敷けて各区からの距離も短縮され、草蓬々たる丸の内の原っぱが、たちどころに煉瓦造りのビル街と変わり、日露戦争後の急速な資本主義の発展とともに、欧風文明もようやくこの都会の面貌を一新しようとしていた。