Classiques japonais avec furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
彼の手が太く巌丈なんでいやんなっちゃったとか、壁にかかっていた外套が、田舎紳士丸出しだとか、いまだにトルストイやガンジイのことばかり口にして、田舎くさい文学青年の稚気を脱していないとか、ちょうどその翌晩に彼女はある新聞社の催しに係る講演などを頼まれ、ある婦人雑誌にも長編小説を書いていたりしていたところから、にわかに花々しい文壇へのスタアトを切り、新時代の女流作家としての存在と、光輝ある前途とが、すでに確実に予約されたような感じで、久しぶりで逢った秋本の気分が、何か時代おくれの土くさいものに思われてならなかった。
庸三は自分への気安めのように聴き流していたが、いくらかは信じてもよいように思えた。
「今度もう一度逢いに行かしてね。わざわざ遠くから出て来ても、あの日は私も気が急いて、しみじみ話もできなかったもんで、どこか静かな処で、一晩遊ぼうということになったの。」
庸三は頷いた。
「あの男、情熱家のようだね。」
「そうよ。私が部屋へ入ると、いきなり飛びついて天井まで抱きあげたりして……でもあの人何だか変なところがあるの。」
葉子は顔を紅くして、俛むいていた。