Classiques japonais avec furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
八
「俺も何か物質的に援助もしたいと思うのだが、今のところその力はない。お前たちのためには、まことに頼りのない父だが、これもどうも仕様がない。辛抱も大事だが金も必要だからね。」
「いや、そんな心配はありません。」
「丈夫になったら、元通り勤めることになってるのだろうね。」
「まあそうです。しかし三年も四年も休んでいると、すべてがそれだけ後れてしもうわけです。この損失を取り還すのは大変です。僕はもし丈夫になったら、今度は方嚮をかえるつもりです。」
「方嚮をかえるって……。」
「向うで懇意になった映画界の人がいますから、あの世界へ入ってみようかとも思っています。」
「それもいいだろうが、三村の老人や他の皆さんともよく相談することだね。」
「お祖父さんは僕のことなんか、そう心配していません。」
「とにかく体が大事だ。偉くなる必要もないから、幸福にお暮らしなさい。」
「は。」
均一は素直に頷いた。
均平は思い切って病室を出てしまった。何か足が重く、心が後へ残るのだったが、わざと銀子のことを考えたりして、玄関口へ出た。
八
均平はしばらく玄関前で、加世子たちの出て来るのを待ってから、やがて製材所の傍を通って街道へ登った。