Classiques japonais avec furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
しかしある時庸三は、長男の庸太郎にだけそのことを告げて、彼の意見を徴しようと思った。
「そうですね、梢さんは別に物質を望むような人でもないでしょうから、差閊えはないと思いますけれど、籍を入れるのだけはどうかな。」
「いけないと思う。」
「まあね。」
庸三も頷いた。
庸三がそのことを葉子に打ちあけたところで、彼女の表情はにわかに険しくなった。
「庸太郎さんが相続者という立場て、そんなこと言うなら、私も止します。」
「しかし戸籍上の手続きをするというのは、お互いに縛ることだから、君にも不利益じゃないか。」
「それが先生の利己主義というものよ。私もうここにいられない。」
苛立つときの彼女の神経は、彼にはいつでも堪えがたいものであった。
「じゃ勝手にするさ。」
庸三の語調も荒かった。
葉子は旋風のごとく飛び出して行った。
春日は庸三の亡妻時代からの懇意な弁護士であった。数寄屋河岸に事務所をもち、かつて骨董癖のある英人弁護士の事務所に働いたこともあるので、自分でも下手ものの骨董品や、異国趣味の室内装飾品などが好きであったが、庸三はある連帯の債務を処理してもらったことから、往来するようになったものだった。