Classiques japonais avec furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Lisez それでも私は行く (それでもわたしはいく) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 708 caractères · 181 écrans
いや、日本人全体が不幸になっている。
しかし、それらの不幸な人間よりも、このおれの方が不幸だと、幹男は十七歳の頭で考えていた。
不幸な人間は、誰でも自分が一番不幸だと考えるものだが、幹男もまたそうだった。
しかし、どんな風に不幸なのかは、はっきり判らない。
「おれは学校を追い出されるだろう。もう憧れの三高にはいれない」
「もうこの家に居れない」
「友達がこのことをきいたら、何と思うだろう」
そんな風なことを漠然と考えていた。
友達の顔がいくつも幹男の頭に浮んだ。
ふと、木村という友達のことを想い出すと、幹男は急にいきいきとした眼になった。木村の父親は産婦人科医だった筈だ。
「そうだ!」
と、呟くと幹男はいきなりお雪に言った。
「お雪、おなかの子をおろしてしもたらどないや。おれ友達の親父に頼んだる」
「え……?」
お雪はびっくりして幹男の顔を見た。
「――いやどす、いやどす……そんなおそろしいこといやどす!」
「頼むからおろしてくれ」
「いやどす、いやどす!」
お雪は泣き出した。
きつくいやだと言われると、もう幹男は気の弱い少年だった。
ただぽかんとして、泣き出しているお雪の背中をながめていた。