Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

Lisez 中谷宇吉郎集 第六巻 (「もくせい」ごうのなぞ) de 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 784 caractères · 269 écrans

Aozora Bunko

そのとおりであって、間もなく三月十日の大空襲で、日本は全く防禦不能の状態にあることが立証され、五月の空襲では、宮中が炎上しても、手の出しようがなかった。その時牧野さんの松濤の御屋敷も全焼し、牧野さんは身をもって逃れられた。それで武見さんは、前に書き落したが、武見さんの奥さんは牧野さんのお孫さんに当るので、万事をとりしきって、千葉の柏へ避難させた。武見さんの家のすぐ近くに、二室ばかりの部屋を借りて、そこが牧野さんの仮の住居となった。

戦争もいよいよ最後の段階に達した頃、即ち終戦の夏の初めのある晩、武見さんに案内されて、その仮の住居を訪ねたことがある。月の無い夜で、灯火管制のために、全くの暗闇であった。武見さんの懐中電灯の微かな光に案内されて、畑中の小道を、露の降りた草を分けながら、たどって行った。真暗の中を、竹藪の横を折れ、生垣に沿って行くうちに、夏のズボンがすっかり露に濡れてしまった。足許の悪い道を歩きながら、何という理由もなく、「七卿落」という言葉がふと思い出された。

庭らしいところに入ると、かすかな光が縁先から洩れていた。縁に上ると、八畳と六畳とが続いて、それに縁側がついた一棟であったように思い出される。