Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よっつのみやこ

四つの都

織田 作之助

Lisez 四つの都 (よっつのみやこ) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 005 caractères · 62 écrans

Aozora Bunko

五六 口縄坂。

初枝「はあ」

庄平「実は僕は……失敬します」

出て行く。

あまい気持が初枝に残る。

庄平から渡された脚絆の紐に無意識に触っている。

パラリと解ける。その端を見た途端、初枝、笑いだす。

初枝「まあ……」

如何にもおかしそうである。

小使が窓の外を通っている。

五六 口縄坂。

誰もいない。

寂しい白昼の坂である。

やがて、清子が登って行く。

あとより慌てゝ登って行くのは、蜂谷十吉である。

十吉「尾形さん、尾形さん」

清子、ふりむく。

十吉、追いつく。

坂の途中である。坂の上では子供達の胴乗り遊び。

十吉「今日はあんたに別れを告げに来た」

清子「え?」

十吉「僕はあんたより一足先きに南方へ行く事になった、報道班員だ。あんたに会いたいために南方へ行くと思われても構わぬ、事実そんな気持がないでもない、然し行けば大いに働くつもりだ、あんたに会えなくても構わぬと思っている」

清子「…………」

じっと十吉を見つめる。

十吉「南方で僕に会うてもし雨が降っても、もう僕のせいじゃない、南方じゃ毎日雨が降る、スコールという奴だ、もう僕は雨男じゃない、今日は絶対に雨は降らせませんよ」

そう言い捨てゝ、また坂を降りて行く。