Classiques japonais avec furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans
(その最初の瞞し手がこの叔父だ。)
そんな風に考えると、彼は自分のしたことがそう小さいことだとは思えなくなった。彼は姪を抱き起した。そして、謝罪の気持ちで姉が帰って来て乳を飲ませるまで抱き通してやった。
六
次の日、山越しに彼は家へ帰った。
「まア昨日(きのう)帰ると思うていたのえ。お寿司(すし)こしらえといたの腐ってしもうた。」
そういって母は盥(たらい)に水をとってくれた。
「昨日着いたんだけれど、一日姉さんとこの小女(こめ)と寝転んでいた、あの小女は可愛らしい顔をしてますね。」
「それでもお臍(へそ)が大きいやろ。あんまり大き過ぎるので擦(す)れて血が出やへんかしら思うて、心配してるのやが、どうもなかったか?」
「そうか、そんなに大きいのか。」
彼は足を洗いながらある女流作家の書いた、『ほぞのお』という作の中で、嬰児(えいじ)の臍から血が出て死んでゆく所のあったのを想い出すとまた不安になって来た。
「そんなことで死んだ子ってありますか?」
「あるともな。」
「死にゃせぬかなア。」
母は黙っていた。
「どうしたら癒(なお)るんだろう、お母さん知りませんか。