Classiques japonais avec furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans
長羅の長躯は反絵の上に躍り上った。二人の身体は逆様に馬の上から墜落すると、抱き合ったまま砂地の上を転った。蹴り合い、踏み合う彼らの足尖から、砂が跳ね上った。草葉が飛んだ。そうして、反絵の血走った片眼は、引っ掴まれた頭髪に吊り上げられたまま、長羅の額を中心に上になり、下になった。二つの口は噛み合った。乱れた彼らの頭髪は絡まった鳥のようにぱさぱさと地を打った。
卑弥呼の高座は二人の方へ近か寄って来ると降された。しかし、耶馬台の兵士の中で、彼らの反絵を助けようとするものは誰もなかった。何ぜなら、耶馬台の恐怖を失って、幸福を増し得る者は彼らであったから。彼らは卑弥呼と一緒に剣を握ったまま、血砂にまみれて呻きながら転々する二人の身体を見詰めていた。彼らの顔は、一様に、彼らの美しき不弥の女を守り得る力を、彼女に示さんとする努力のために緊き締っていた。しかし、間もなく彼らの前で、長羅と反絵の塊りは、卑弥呼の二人の良人の仇敵は、戦いながら次第にその力を弱めていった。そうして、反絵の片眼は瞑むられたまま砂の中にめり込むと、二人は長く重なったまま動かなかった。卑弥呼はひとり彼らの方へ近かづいた。