Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans

Aozora Bunko

その当座線香の匂いが二階へも通い、銀子はいやな思いにおそわれたが、まだ下に寝ているような気がしたり、春よしの路次を出て行く後ろ姿が見えたりした。「あの子はあれだけの運さ。悔やんでも仕方がない。それよりお前の体が大切だよ。」

母は言っていたが、銀子も一度死神に憑かれただけに、助かってそう有難いとも思えず、死ぬのも仕方がないと思っていた。

もうここまで来れば大丈夫だから、予後の静養に温泉へでも行ってみるのもよかろうと、医師が言うので、六月の末母につれられて伊香保へ行ってみたが、汽車に乗ってもどこか気細さが感じられ、手足の運動も十分とは行かず、久しぶりで山や水を見ても、それほど楽しめなかった。

伊香保はぼつぼつ避暑客の来はじめる時節で、ここは実業界の名士に、歌舞伎俳優や花柳界など、意気筋の客で、夏は旅館も別荘も一杯になり、夜は石の段々を登り降りする狭い街が、肩の擦れ合うほどの賑わいなのだが、銀子の行った時分には、まだそれほどでもなく部屋は空いていた。

銀子は看護婦に切られた髪が、まだ十分に伸びそろわず、おまけに父親の姉が、生命の代りに生髪を鎮守の神に献げる誓いを立てたというので、本復した銀子の髪の一束を持って行ってしまったので、恥ずかしいくらい頭が寂しかったが、それよりも湯からあがると、思いのほかひどい疲れを