Classiques japonais avec furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
多勢の子供に取りまかれながら、じみな家庭生活に閉じ籠もっていた庸三は、自分の畑ではどうにもならないことも解っていたし、こうした派手々々しい、若い女性のたびたびの訪問に、二人きりの話の持ちきれないことや、襖一重の茶の間にいる妻の加世子にもきまりの悪いような気がするので、少し金まわりの好い文壇の花形を訪問してみてはどうかと、葉子に勧めたこともあった。葉子もそれを悦んだ。そしてだんだん渡りをつけて行ったが、それかと言って、何のこだわりもなく社交界を泳ぎまわるというほどでもなかった。
「……それにこれと思うような人は、みんな奥さん持ちですわ。」
そこで彼女は異性を択ぶのに、便利な立場にある花柳界の女たちを羨ましく思ったわけだったが、彼によって紹介された山の手のカフエへ現われるようになってから、彼女の気分もいくらか晴々して来た。
持越しの長篇が、松川の同窓であった、ある大新聞の経済記者などの手によって、文章を修正され、一二の出版書肆へまわされた果てに、庸三のところへ出入りしている、若い劇作家であり、出版屋であった一色によって本になったのも、ちょうどそのころであった。